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プレイバック たった1人の大切な人でさえ幸せにしてあげられないのか? 2019/5/13

2人で遊びに行った商業施設に占いのスペースがあり、面白そうだから2人で手相を占ってもらうことにした。

 

僕は悪いことは言われなかったので、きげん良く終わった。

そして彼女の番になる。彼女は占い師に両手を差し出す。

 

手相を見てもらったのは見た目も言葉も優しい感じのおばあさん占い師で、優しくこう言った。

 

「あなたは自分のことより他人のこと。不満があってもがまんしてしまうのよね。

本当は綺麗な手をしているのにたくさん線があるでしょう?」

 

そう言われてみれば、たしかに彼女の手にはたくさんの細かな線が縦横に入っていて、とても20代の手には見えなかった。

占い師の言葉を聞いた時、僕は横目に彼女の頬を伝って何かが彼女のひざの上に落ちたのが分かった。

今までずっとがまんしてきたつらい気持ちがあふれ出していた。

僕はドキッとしたがただ占い師の言葉を横で聞いていることしかできなかった。

 

仕事のこと、好きなイラストのこと、そして先が見えない僕とのこれからのこと、

彼女は気づきすぎる繊細な心ゆえに、たくさんの悩みを1人で抱えて背負って、迷いながら生きていたのだった。

 

そんな彼女に何て言葉をかけたらいいか分からなかった。

気付けなかった自分が悔しくて恥ずかしかった。

 

帰りの電車での沈黙が2人の距離を物語っていた。

 

大阪.吹田市

 

 

占いの途中で、僕は席を外した。

僕がいたら話しにくいこともあるだろう、ということで、

彼女は占い師と2人になって10分くらい話していた。

そのとき、占い師がなんて言ったのか、僕は知らない。

 

彼女の涙を見て後悔したけれど、

彼女が抱え込んでいた不安や辛い気持ちを知れるいいきっかけになった。

もし占い師の言葉を聞いて、これを機に僕と離れたいっていう決断を彼女がするなら、

僕は受け入れようと思った。

 

帰りの沈黙は、ああ、終わったかなって思った。

たかが占いって思うかもしれないが、占いはダテじゃないと思った。

 

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